こんな経験ないですか?
いわゆる「二日酔い」ですね笑
二日酔いの時には『五苓散(ごれいさん)』という漢方薬がおすすめです!
…というフレーズをどこかしらで聞いたことがあるかもしれません。
『五苓散』は体の水分を調節する漢方薬です。
しかし、驚くことなかれ!
実のところ、五苓散は二日酔いだけではなく、その得意な作用により“万能な漢方薬”としても効果が期待できます!
五苓散は漢方の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」にも記載されていて、古くから使われてきました。
「美」でお悩みの方にも、五苓散の服用を検討する価値はあります。
今回は【漢方のチカラ】として『五苓散』についてわかりやすく解説いたします。
この投稿を読むメリット
- 五苓散の特徴・使うメリットがわかります!
- 二日酔い対策が万全になる!
- 浮腫みがとれて、体スッキリ!
- なかなか良くならない肌の状態が改善するかも!
- 次の日のデートもバッチリ☆
漢方データ
体質
虚・中間・実
→つまり、誰でもOK!
適応証・腹証
【水湿困痺】
胃腸の働きが悪く、水が脾胃に停滞した状態で、“チャポチャポ”とした振水音・感覚がする、いわゆる「水毒(水滞)」といわれる状態です。
お腹の力はやや弱くて、抵抗感があります。
基本的には「喉が乾いて、尿の出が悪い人、トイレの回数が少ない人」に適しています。
溜め込みすぎ!!|水毒(水滞)
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適応する疾患・症状
【内科】全身性・局所性の浮腫(むくみ)*生理・産後によるものから癌性によるものまで幅広く
【耳鼻咽喉】めまい、メニエール病、アレルギー性鼻炎
【消化器】胃腸風邪(お腹からくる風邪)、胃腸炎、胃炎、胃内停水、胃下垂症、胃アトニー、腹痛、下痢、悪心、嘔吐、唾液分泌過多症
【神経・筋肉】頭痛、三叉神経痛
【内分泌】糖尿病
【皮膚】水いぼ、湿疹、アトピー性皮膚炎
【泌尿器・腎】膀胱炎、尿毒症、糸球体腎炎、ネフローゼ症候群(尿タンパク)
【その他】二日酔い、妊娠によるつわり、妊娠生高血圧、乗り物酔い、暑気あたり、気象病(特に梅雨などの湿気が強い時期)
構成生薬とその作用
【利水作用】猪苓、沢瀉
【健脾利水作用】茯苓、白朮
【温経通脈作用】桂皮
五苓散の「苓」は猪苓から来ていて、五つの生薬で構成されているから『五苓散』とよびます。
猪苓には「抗菌作用」があり、膀胱炎などの尿路感染症に適するとされます(他:猪苓湯など)。
沢瀉は利尿・祛湿・清熱目的で、お腹などの体の空間内に溜まった水分を取り除きます。
白朮には「健胃作用」と「発散作用」もあり、うまく処理できなくなった体内の余分な水分である「湿(邪)」を取り除きます。
桂皮は体を温めて、血管を拡げる「温経痛脈作用」で、猪苓・沢瀉・白朮・茯苓による「利水作用」を強めます。
また、桂皮には「発汗作用」と「発散作用」もあり、体の外に毒素・老廃物を出します。「
『五苓散』は利水作用を持つ4剤(猪苓・沢瀉・白朮・茯苓)と、その作用を強める桂皮による5つの生薬により、体の水分バランスを整えます。
美と漢方
体の水分バランスを調節する五苓散には様々な効果が期待できます。
ただ、全部を解説してしまうと、とてつもなく長い文章になってしまい、絶対混乱します笑
そこで、“美と漢方”という観点から、五苓散の「美への活用法」を4つご紹介いたします。
二日酔い対策で良い酒を飲もう
五苓散が最も活用されるのが、「二日酔いの対策・予防」です。
お酒のアルコールは体内の水分を奪うだけでなく、体内に貯留して悪さを発揮します。
特に日本人はアルコールを代謝する酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素)の働きが弱い人が多いため、アルコールが体に残って二日酔いにもなりやすいです。
二日酔いは体の水分バランスが崩れており、頭痛やむくみ、吐き気を催したりと、体もしんどくなります。
そのような時に、五苓散を服用すると緩和されます(*注意:“すぐに”ではないですよ)。
ただ、二日酔いになってしまった時は、すでにもうつらいですよね笑
そこで、おすすめな服用方法は「お酒を飲む日の4時間前くらいと乾杯する前に服用していく」のが良いです。
そうすることで、二日酔いを未然に防げるようになります。
(だからと言って、二日酔いにならないというわけでもなく、いつも以上に飲み過ぎるのもアレですが…笑)
また、五苓散を事前に服用しておけば、ほろ酔いながらも冷静な自分でいられます(その時の流れもありますが笑)。
さて、ここから先は、あなたのご想像にお任せします(おい←笑)。
つらい二日酔いにならないように、旨くて良い酒を楽しく飲みましょう!
むくみ改善で次の日のデートもバッチリ
お酒を飲んだ次の日に大切なデートの予定とかありませんか?
特に、大切な記念日や初デートだったら、あら大変!!
顔や体がむくんで“パンパン、アンパンマン”なのに会うのって嫌ですよね笑
そんな時にも、『五苓散』で予防しておくと良いです!
「私はお酒に強いし、二日酔いにもなったことないから大丈夫!」..だと思っていませんか?
二日酔いでなくても、体はむくむことはあります(お酒を飲まない人ももちろん)。
特に、女性は生理や産後など、ホルモンバランスが乱れることで、手足とかがむくみやすくなります。
体のむくみが気になる人は、五苓散で体の水分を整えませんか?
次の日の大切なデートや記念日もバッチリと決めていきましょう!
頭痛から解放されて、脳もスッキリ
五苓散は「頭痛」に対しても広く用いられます。
ロキソニンやバファリンなどの解熱鎮痛剤を使うのも良いですが、薬剤師として頻繁に使うことはおすすめできません。
頭痛に早く効くのは確かですが、それ故に、ロキソニンやバファリンを常用・依存してしまう方も多いからです。
また、解熱作用により、体温を下げてしまい、体の免疫力が落ちてしまうからです。
頭痛がする時は、まずは「暗い場所で目をつむり、ゆっくりと休む」が基本です。
さて、五苓散ですが、体の水分を調節するため、頭に滞った余分な水分及びそれによる血管拡張を緩和して、頭痛を改善します。
特に、五苓散は「低気圧・季節性の頭痛」には適しています。
天気が悪い時や登山、飛行機に乗っていると頭痛がする方も多いです。
これは気圧が下がることで脳の酸素が不足し、血流を増やして補おうとして脳血管が拡張するため、頭痛が発症します。
また、梅雨のジメジメとした時期は、体が“湿邪”で侵されやすく、これにより体の水分が上手く処理できず、頭痛が長引くこともあります。
脳もスッキリとさせたいですよね。
頭痛持ちの方には、五苓散はおすすめです。
脳がスッキリとすると、軽やかになり、自然と笑顔にもなってきますよ!
笑顔が素敵な女性は美しいです!
長引くジュクジュクした湿疹や肌荒れに
五苓散は子どもの「水いぼ」にも用いられます。
これは「水の流れが滞っていることによるもの」と考えられて、五苓散が使われます。
また、『ヨクイニン(薏苡仁)』というイボに効く漢方薬も単独または五苓散と併用します。
ヨクイニン(薏苡仁)は肌荒れを含めて美容目的で使われることもあります。
ジュクジュクした湿疹や肌荒れも、体内の水分の偏りによって生じていると考えられ、皮膚科で五苓散が処方されることもあります。
アトピー性皮膚炎(ジュクジュク肌)やアレルギー性鼻炎(鼻水がひどい)の症状が重い時に、五苓散を用いて改善を図ります。
美容目的で「ヨクイニン(薏苡仁)」を使用してもあまり改善が見られない方は、『五苓散』と併用すること検討してはいかがでしょうか?
特にアレルギー体質の人、むくみやすい人にはおすすめしたいです。
【まとめ】万能な漢方薬です!
『五苓散』は体の水分を調節する漢方薬です。
二日酔いやむくみ、吐き気、頭痛など、水分バランスが崩れることによる症状を改善します。
基本的には「喉が乾いて、尿の出が悪い人、トイレの回数が少ない人」が使うと効果的です。
水分の代謝を調整する作用により、体内に停滞する余分な水分を尿として出すだけでなく、体内の毒素(水毒)を薄くするように尿の量を増やして放出します。
また、体内で水分が不足しているところに、水分を補って癒やします。
二日酔いだけでなく、乗り物酔いやむくみ、頭痛、めまいなどの万能性もあるため、“一家に一箱”、…どころか、“一財布に二包”と備えておきたいところです(急な飲み会の時とか笑)。