つらい咳を鎮める漢方薬として、『五虎湯(ごことう)』があります。
『五虎湯』は気管支の炎症や気道が狭くなることで生じる「乾いた激しい咳」を楽にします。
この漢方薬は漢方の古典:万病回春(まんびょうかいしゅん)に記載されています。
今回は【漢方のチカラ】として『五虎湯』について、わかりやすく解説いたします。
この投稿を読むメリット
- 「五虎湯の特徴・どういう時に使えば良いがわかります!
漢方データ
体質
中間・実
比較的体力があって、激しい咳が出る人に使われます。
喘息の疑いがある子どもでも使われることがあります。
また、身体を冷やす作用があるため、妊婦や冷え性の人には使いません。
適応証
【風熱犯肺証】
「風熱犯肺(ふうねつはんはい)」とは、風邪と熱邪が肺に侵入して犯している状態のことです。
「風邪」は春の時期に活発になりやすく、「邪(身体に悪いもの、例:ウイルス、細菌)」が体内を駆け巡って、“病”の侵された状態。
「熱邪」は体内の熱量を過剰にする邪気です。
『五虎湯』は、肺が「風邪」と「熱邪」に犯される証に使われます。
適応する疾患・症状
【呼吸器】感冒、気管支拡張症、気管支喘息、急性・慢性気管支炎
【耳鼻咽喉科】急性・慢性咽頭炎、急性・慢性喉頭炎、急性・慢性上気道炎
【小児】喘息様気管支炎、百日咳、小児気管支喘息
構成生薬とその作用
【平喘・去痰・止咳作用】麻黄・杏仁
【清肺・平喘作用】石膏
【和胃作用】甘草
【鎮咳作用】桑白皮
『五虎湯』は5種類の生薬(麻黄・杏仁・石膏・甘草・桑白皮)を配合し、その作用を組み合わせて効果を発揮します。
五虎湯はもともと、『麻杏甘石湯』に【鎮咳作用】のある桑白皮を加えた処方です。
熱を冷ます作用があるため、虚弱体質の人や冷え性の人、冷えを強く感じる人には使用を控えます。
麻黄には「エフェドリン」という有効成分が含まれており、気管支を拡張させることで、呼吸を楽にする働きがあります。
【去痰作用】がある杏仁、胃(脾)を整え身体を滋養する甘草、熱や腫れを抑える石膏、咳を鎮めるように働きかける桑白皮を合わせることで、「乾いた激しい咳が出る人」の症状を楽にします。
特に、夜間から明け方の就寝時には気道が狭くなり、息苦しさや咳が強く出ることで、睡眠が浅くなることもあります。
不眠を伴う咳を訴える人にも、五虎湯は使われます。
どういう人に使うと良い?
【五虎湯を検討する人】
- 咳がつらい人
- 気管支が弱い人
- 喘息持ちの人
- 咳や息苦しさで眠れないことがある人
『五虎湯』の効能効果は「せき、気管支ぜんそく」です【参考】。
使用目安として「悪寒がそれほどなく、口が渇き、乾いた激しい咳が出る人」に適しています。
上記のような症状でお悩みの人は、五虎湯の使用を検討しましょう!
ただし、服用しても、症状の改善が認められない場合は、お近くの医療機関へ受診してください。
また、医師の治療を受けていたり、他に飲んでいる薬がある場合は、購入する前に医師や薬剤師等にご相談ください。
【まとめ】乾いた激しい咳を楽に
つらい咳を鎮める漢方薬として、『五虎湯(ごことう)』について解説いたしました。
基本的には比較的体力があって、激しい咳が出る人(中間・実証)に使われます。
目安は「悪寒がそれほどなく、口が渇き、乾いた激しい咳が出る人」。
「咳がつらい人」、「気管支が弱い人」、「喘息持ちの人」、「咳や息苦しさで眠れないことがある人」など...。
「乾いた激しい咳」を楽にする目的で、五虎湯の使用を検討しましょう!
