下半身の冷えからくる症状を緩和する漢方薬として、『牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)』があります。
『牛車腎気丸』は腎を補い、身体の水分バランスを改善して、「下半身の冷え・痛み・痺れ・むくみ・だるさ・排尿トラブル」を楽にします。
この漢方薬は漢方の古典:済生方(さいせいほう)に記載されています。
今回は【漢方のチカラ】として『牛車腎気丸』について、わかりやすく解説いたします。
この投稿を読めば?
- 牛車腎気丸の特徴・どういう時に使えば良いがわかります!
- 下半身の冷えからくる症状の改善が期待できる!
漢方データ
体質
虚
虚弱体質の人、比較的体力が低下した人、特に腎臓の機能が低下した高齢者によく使われます。
「体力の充実している人」、「暑がりでのぼせが強く、赤ら顔の人」、「著しく胃腸の虚弱な人」、「食欲不振、悪心、嘔吐のある人」。
上記の人には副作用の懸念及び症状の悪化の可能性があり、慎重投与となります。
適応証
【腎陽虚証】・【水湿証】
「腎陽虚証」とは、『腎』の機能が低下して、【陽】である「精氣(腎陽氣)」が不足した状態です。
身体を温める「精氣(腎陽氣)」が不足すると、体温調節機能が低下し、冷えが生じて、身体の機能も低下します。
易疲労性や腰痛、むくみ、めまい、耳鳴り、夜間頻尿、排尿困難などが見られるようになります。
「水湿証」とは、身体の『津液』が停滞して、「邪(身体に悪いもの)」に転じた状態です。
頭痛、めまい、吐き気、だるさ、むくみ、尿量減少などが見られるようになります。
陰陽はバランスが大事|陰虚・陽虚とは?
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適応する疾患・症状
【腎】慢性腎炎、ネフローゼ症候群、萎縮腎
【代謝】糖尿病、高脂血症、むくみ
【泌尿器】陰萎、急性・慢性膀胱炎、前立腺肥大症、慢性前立腺炎、男性不妊、尿失禁、排尿困難
【神経・筋】坐骨神経痛、脳血管障害後遺症
【循環器】高血圧症
【運動器】腰痛症、肩こり症、肩関節周囲炎、骨粗鬆症
【眼】白内障、眼精疲労
【耳鼻咽喉】耳鳴り、めまい
【皮膚】老人性皮膚掻痒症、湿疹
構成生薬とその作用
【補腎益精作用】地黄・山茱萸・山薬
【清虚熱・利水作用】牡丹皮・沢瀉・茯苓
【温陽散寒作用】桂皮・附子
【補腎・利水作用】牛膝・車前子
『牛車腎気丸』は10種類の生薬(地黄・山茱萸・山薬・牡丹皮・沢瀉・茯苓・桂皮・附子・牛膝・車前子)を配合し、その作用を組み合わせて効果を発揮します。
牛車腎気丸はもともと、下半身のだるさや軽度のむくみに使われる『八味地黄丸』に【補腎・利水作用】の牛膝・車前子を加えた処方です。
八味地黄丸よりも、腎を補い、むくみやだるさなどの水湿トラブルの改善・水分バランスを調整させる作用が強いです。
そのため、「下肢がむくんでだるい人」の症状を楽にします。
どういう人に使うと良い?
【牛車腎気丸を検討する人】
- 腰から下肢にかけて、痛みや痺れがある人
- 足が重く感じ、だるさやむくんでいる人
- 夜間頻尿、排尿痛、排尿時に不快感がある人
『牛車腎気丸』の効能効果は「疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少または多尿で時に口渇がある次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみ」です【参考】。
目安として「下半身が冷え、腰から下肢にかけて痛みや痺れ、むくみやだるさ、排尿トラブルがある人」に適しています。
上記のような症状でお悩みの人は、牛車腎気丸の使用を検討しましょう!
ただし、服用しても、症状の改善が認められない場合は、お近くの医療機関へ受診してください。
また、医師の治療を受けていたり、他に飲んでいる薬がある場合は、購入する前に医師や薬剤師等にご相談ください。
【まとめ】下半身の冷え・痛み・痺れ・むくみ・だるさ・排尿トラブルを楽に
下半身のだるさやむくみ、排尿困難を緩和する漢方薬として、『牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)』ついて解説いたしました。
基本的には虚弱体質の人、比較的体力が低下した人、特に腎臓の機能が低下した高齢者によく使われます。
目安は「下半身が冷え、腰から下肢にかけて痛みや痺れ、むくみやだるさ、排尿トラブルがある人」。
「腰から下肢にかけて、痛みや痺れがある人」、「足が重く感じ、だるさやむくんでいる人」、「夜間頻尿、排尿痛、排尿時に不快感がある人」など...。
下半身の冷え・痛み・痺れ・むくみ・だるさ・排尿トラブルがあれば、牛車腎気丸の使用を検討しましょう!