薬膳では、野菜は内蔵の働きを調整するものとされ、体調を整える大事な食材です。特に「旬」の野菜は栄養価が高く、味も美味しくて、身体を元気にしてくれます。夏野菜は身体を冷やすもの、反対に、冬野菜は身体を温めるものが多く、季節に応じた旬の野菜は、身体を自然と癒やしてくれます。
ごぼうは、消化を助け、肝臓を解毒し、ホルモンのバランスを整えるなど、多くの健康効果があることで知られる素晴らしい食材です。
また、身体の老廃物を取り除き、肌質の改善、炎症の軽減、代謝の改善も期待できます
食物繊維が豊富で、整腸作用を発揮することから、美容・ダイエット目的にも◎。
ごぼうは、美食にピッタリな食材となります。
そこで、今回は【美食】をテーマに『ごぼう(牛蒡)』の美と健康のメリットついて、わかりやすく解説いたします。
食材データ
原産地と別名
【分類】キク科
【学名】Arctium
【英語名】Burdock
【中国名】牛蒡(ニュウバン)
【原産地】ヨーロッパから中国の北東部にかけて
ルーツ
ごぼうを初めて利用したのは中世の記録ですが、中国の漢方薬としても知られており、その歴史はかなり古いものと思われます。
ごぼうは日本では1,000年以上も前から栽培されており、古くから親しまれている野菜ですが、実は日本以外で食べる国はほとんどありません。
中国では明の時代まで野菜として食用する習慣がありましたが、現代ではほとんどない代わりに、「薬用」として主に使われます。
ごぼうの種は「牛蒡子(ゴボウシ)」と呼ばれ、解熱や解毒、去痰、排膿作用があることから、漢方薬に配合されます。
西洋では、植物や葉っぱ、茎をハーブや代替療法として用います。
薬膳・漢方
【五性】寒
【五味】苦、辛
【東洋医学的効能】疎散風熱透疹、解毒利咽、通十二経・除五臓悪気
【旬】11〜1月、4〜5月(*新ごぼう)
【選び方】泥付きのもの。まっすぐで太すぎず、ひげ根が少ないもの。
【保存方法】泥付きのものは湿らせた新聞紙にくるんで冷暗所で保存する。洗ったものはポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存する。
【主な栄養素】亜鉛、カリウム、食物繊維、銅、マグネシウム
*栄養素は、ごぼうの皮に多く含まれるため、皮は剥かずによく洗って、食べましょう。
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薬膳・漢方とは?
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ごぼうは“繊維質の塊”と言われくらい、水溶性・不溶性の食物繊維を豊富に含むため、腸活にピッタリな食材です。
便通を改善して老廃物を排出したり、血中のコレステロールを吸着して排泄を促進し、動脈硬化の予防や糖尿病の改善も期待できます。
ただし、身体を冷やす作用が強い(【寒性】)ため、冷え性の人や胃腸が弱い人は食べ過ぎに注意しましょう。
【腸活】ごぼうと食物繊維|イヌリン
ごぼうには水溶性食物繊維であるイヌリンが含まれます。
イヌリンは腸内の炎症を抑え、下痢や胃腸のトラブルの原因となる有害細菌を排除します【参考文献】。
つい食べ過ぎてしまう人にも、ごぼうに含まれるイヌリンは良いです。
イヌリンには食欲を増やすホルモン:グレリンを減らし、満腹中枢を満たすホルモン:ペプチドYYを増やすため、過度な食欲を抑制させる効果が期待できます【参考文献】。
血糖コントロールにも良いとされ、空腹時のグルコース、インスリン、ヘモグロビンA1c、インスリン抵抗性を有意に改善させる効果も確認されています【参考文献】。
また、ごぼうには不溶性食物繊維のセルロース、ヘミセルロース、リグナンなどが含まれていて、これらも便通の改善やコレステロールの排泄を促進します。
ごぼうは腸活にはピッタリな食材です。
ごぼうと肌質改善
ごぼうには東洋医学的効能として、「解毒利咽」といって、胆汁の分泌と腸内の消化液を刺激し、肝臓が毒素を迅速に処理して、体内から洗い流すのを助ける働きがあります【参考文献】。
また、「通十二経・除五臓悪気」といい、血行を良くして、五臓六腑の老廃物を取り除きます。
便秘であったり、血液中の毒性が高い、あるいは、食生活が乱れている時、肌にシミや吹き出物、ニキビ、発疹、炎症が見られやすくなります。
ごぼうは、これらを効率的に解決する食材をとして、透明感のある健康的な肌へと導くサポートをします。
特に、西洋では多くのハーバリストが、肌荒れの治療に、ごぼうのサプリメントやハーブを推奨しています【参考文献】。
さらに、ごぼうには【ビタミンC】・【ビタミンE】が含まれています。
どちらも体内で抗酸化物質として働き、活性酸素を除去して、免疫システムをサポートしてくれます【参考文献】。
【まとめ】“繊維質の塊”ごぼう【牛蒡】
ごぼう(牛蒡)は食物繊維が豊富で、お腹の調子を整えてくれます。
また、お腹の調子が良くなると、肌質の改善にもつながります。
日本人は食物繊維の摂取量が少ない傾向があるため、“繊維質の塊”であるごぼうは、おかずの一品として取り入れていきたいところ。
ただ、ちょっと料理するには手間でもあるため、コンビニやスーパーで売っている「ごぼうのきんぴら」を買って食べる。
ドラッグストアなどで売っている「ごぼう茶」を飲むのはおすすめです。
(*私は「ごぼう茶」が好きで、寝る前に定期的に飲んでいますが、毎日快便です!)
お通じでお悩みの方や日頃の健康を意識して、ぜひお試しください!
参考