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[理論・応用編]第八章:五臓六腑(肝・心)

読めばナルホド!大事なポイントが分かる東洋医学理論・応用編第八章:五臓六腑について、わかりやすくお話いたします。

前回、東洋医学で重要な説とされる『五行説』について、お話させていただきました。

【★復習】[理論・応用編]第七章
五行説とは?

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理論・応用編第八・九・十章まで、東洋医学における『五臓六腑』について、お話していきます。

東洋医学では身体の臓器を働きや機能により、『五臓六腑』として分けられます。

五臓】〈〉・〈〉・〈〉・〈〉・〈

六腑】〈〉・〈小腸〉・〈〉・〈皮膚・大腸〉・〈膀胱〉・〈三焦(体内の空間)

今回は肝(胆)〉・〈心(小腸)について理解を深めていきましょう!

コーヒーブレイクで‘ほっ’とひと息つきながら、気持ちを楽にしてお読みください!
佑:Task

五臓六腑のポイントは何か?

まずは『五臓六腑』について、イメージしやすいように理解しておきましょう!

五臓〉】のイメージは...詰まっている

六腑で摂り入れた栄養素や酸素を体の機能を維持するために必要な〕・〔・〔津液に変換し、貯蔵して利用・代謝します。

六腑小腸大腸膀胱三焦(体内の空間)〉】のイメージは...空洞・通り道・パイプ

体外から摂り入れた栄養を仕分けして各臓器へ供給し、不要なものや老廃物を排泄する働きをします。

五臓六腑は、)のような関係で、〕・〔・〔津液の通り道(経絡)のうち、太い経脈でつながっています。

五行説』では肝(木)〉・〈心(火)〉・〈脾(土)〉・〈肺(金)〉・〈腎(水)の性質を持ち、相生関係(力を促す)・相克関係(力を抑える)が働き、それぞれが助け合いながらバランスをとっています。

五臓六腑』を理解する上でのポイントは...

五臓】が整うと、【六腑】も自然と整う。

自ずと身体はバランスを整える」ため、個別ごとに捉えるのではなく、“つながり”を意識することが大切です。

腑に落ちて理解する

東洋医学における『五臓六腑は一種の“仮想した内臓器官系でもあるため、今日の西洋医学による解剖学的なものと一致するわけではありません。ただ、その違いを理解した上で、両義的な視点で捉えた方がイメージしやすくて“腑に落ちる”と考えます。当サイトではこの点をふまえて、お話いたします。

【表】肝

〈肝〉の主な作用

  • 【疏泄】〕・〔〕・〔津液を調節して、全身に滞りなく巡らせ、体の新陳代謝を助ける。
  • 【感情の調整】精神活動を担うと、それをコントロールするの間に位置するは精神面の調整を行う。
  • 【血の貯蔵】から作られたを貯蔵して、必要に応じて巡らせる。
  • 【解毒代謝】有害物質などを解毒代謝して、を綺麗にする。

肝(肝臓)疏泄(そせつ)を司る臓器で、が豊富であることから、“血液の貯蔵庫”とされる。

疏泄」の意味は、疏:通す・巡らす泄:排泄する・外に出す

に集められた栄養は、身体で利用できるように合成・分解します。

各臓器に必要な〕・〔・〔津液を調整して、栄養を供給し、正常に働くようにサポートします。

また、血液中に溜まった有害物質の解毒代謝を担い、血液を綺麗にします。

特に、〈が最も働くとされるのが...。

午後11時〜午前3時

...とされ、「効率よく血液を綺麗にする時間」とも言われています。

(*だからこそ、を整えるには「早寝が良い」とされるのですが...お酒を飲むと寝るのが遅くなりますよね笑)

が綺麗になり、それがへ送られると、からだ全体が整うことにもつながっていきます。

そして、月経にも大きく関係します。

の巡りが悪いと、生理が来るのが遅くなります。

また、の巡りが悪いと、生理前の痛みが起きて、血の汚れが溜まります。

肌の状態で「肌質が良く、血色も良い」ということは...

の巡りが良くて、肌に栄養が供給され、血液も綺麗であることを意味します。

は五行に基づくと「」のように、「成長する・伸びる・発達する」という性質を持つとされます。

寝る子は育つ」というように、これは大人になっても変わりません。

しっかりと睡眠をとって、身体を整えておきたいところです。

〈肝〉は筋肉を管理?

東洋医学では、脳と筋肉の間のコミュニケーションは自律神経が関与するとされ、に負担がかかると、「筋肉」が硬直する(身体が固くなる)とされます。筋肉の動き(可動域や伸展性、柔軟性)が思わしくなければ、「の状態が良くない、負担がかかっている」と考えてみましょう。

【裏】胆

胆(胆のう)は、【】のの働きをサポートする

また、で生成した胆汁(0.5~1.0L/日)を巡らせることで、消化吸収も担います。

胆力』という言葉を聞いたことはありませんか?

実は、は勇ましさや意志・決断力などの精神面を担う部位とされます。

また、が弱ると気も小さくなり、優柔不断になると考えられています。

肝陽上亢とは?

過労やストレスは、肝に余分な熱がこもりやすく、「肝熱」となって異常に盛んなという状態になります。

こうなるとを調整する機能がうまく働かなくなり、さらには盛るようにが上に昇って、亢奮状態となってしまいます。

このような状態を肝陽上亢(かんようじょうこう)といいます。

「怒りで気が昇った!」、「気が狂って、頭が痛い!」

...という経験はございませんか?

それが肝陽上亢の状態です。

そのまま放置すると、余分な熱が高まり、身体を傷つけてしまいます。

このような時は、深呼吸してリラックスする心を静める早めに寝てしっかりと睡眠を取ることが大切です。

また、早食いや暴飲暴食になりがちでもあるため、よく噛んで、ゆっくりと食事すると良いです。

肝臓と怒り

肝臓と怒り』の関係性について、ちょっと興味深い話をご紹介します。

閃く経路(著:ダニエル・キーオン)』では、アミノ酸であるヒスタミンが“ホルモン”として関わっているのではないかと推測しています。

ヒスタミンは身体の各部位で働きますが、それが過剰になって溢れ出すと、かゆみ喘息アナフィラキシーなどのアレルギー症状を引き起こします。

(*肝臓の機能が低下すると、うっ滞した胆汁が血液中を流れ、それが皮膚に蓄積してかゆみの原因となっているという説もあります。)

このような症状が出た時、つらいだけでなく...

イライラして、気持ちが落ち着かない...。

...となりませんか?

それが結果として、怒りの感情へとつながります。

肝臓は解毒代謝を担います。

つまり、過剰なヒスタミンを除去することにも関わるため、『肝臓と怒り』は関係性があると、ダニエル・キーオンは推測しています。

西洋医学と東洋医学は似ていたり、つながっているようなところもあり、興味深いです。

五臓と感情

東洋医学では「五臓には感情がある」とされます。肝:怒り心:喜び脾:思肺:悲しみと憂い腎:恐怖と驚きというように、心理学的な要素があります。これらの感情のうち、よく見られるものがあるとしたら、その臓器との関連性を考えます。また、これを『五行説(相生・相克関係)』で考えると、病の原因として「内因(精神・心理状態)」をより深く見れるようになります。

【表】心

〈心〉の主な作用

  • 【血脈の管理】ポンプ機能により、を全身に送り、血液循環を担います。
  • 【精神活動(神)】大脳の働きのことを「神志(しんし)」と呼び、は思考や感情などの精神活動(「」)を担います。

(心臓)は五臓六腑をコントロールして、人の心と身体の働きを管理する司令官。

全身の血脈を司り、血液循環を制御します。

心臓のポンプ機能により、肝臓から運ばれた血液を全身に運び、体温を上げて、栄養素や酸素を行き渡らせます。

また、(こころ)とあるように、思考や感情、意思、記憶などの精神活動を担います。

これを神(しん)の作用といいます。

失調すると、不安や焦燥感、悲壮感が強くなり、不眠や記憶力・集中力の低下を招く恐れもあります。

(*精神活動のコントロールはが担い、が弱まるとの働きも抑制されて乱れるとされます。)

は五行に基づく「」の性質を持ちます。

火が弱まると、生命力(心力)も低下する」とイメージしやすいかと思います。

身体がエネルギッシュであるためにも、心を整えておきましょう。

心臓に問題があると...

は他の臓腑に司令を出す存在であることからも、重要な位置付けであります。体の各トラブルは他の臓腑が担当するため、に問題があるということは相当問題がある...と解釈しても差し支えません。

心身一如

心身一如』とは禅語の一つです。精神が安定すれば、病は遠ざかっていきます。心の安定こそが、身体の調子を正常にするという、禅の教えです。心の病と身体の病は別なものではなく、原因は一つなのです。病を遠ざけるためにも、美しく規則正しい生活を心がけることが大切です。

【裏】小腸

小腸は栄養を吸収して、からの栄養の巡りを良くして、身体の栄養状態を整える。

小腸と同じく、“動き続ける臓器(心は拍動、小腸は蠕動運動)”です。

ひだを伸ばすとテニスコート1面分の長さもあり、それが折りたたまれた構造をしています。

また、とても見えにくい(調べにくい)臓器でもあるため、別名:“暗黒の臓器”とも呼ばれます。

小腸は体の免疫の約70%を担う重要な機関でもあります。

小腸の状態が悪い(“ぐちゃぐちゃ”)と、心からの栄養の巡りが悪くなると考えられています。

腸の状態を良くしておくためにも、身体に良いものを食べるようにしたいところです。

【まとめ】〈肝〉と〈心〉の理解を深めよう!

五臓六腑における肝(胆)心(小腸)について、お話いたしました。 

肝(胆)

肝(肝臓)疏泄(そせつ)を司る臓器で、が豊富であることから、“血液の貯蔵庫”とされる。

胆(胆のうは、表のの働きをサポートする。


心(小腸)

心(心臓)は五臓六腑をコントロールして、人の心と身体の働きを管理する司令官。

小腸は栄養を吸収して、からの栄養の巡りを良くして、身体の栄養状態を整える。

肝(胆)心(小腸)相生関係(力を促す)であり、「〉に集められた栄養(血)をから送り出す」ことからもイメージできるかと思います。

の状態が良ければ、への負担も減り、正常に働きます。

」のような性質を持つ、「」のような性質を持つ心(小腸)

が燃えることで、となります。

どちらも心と身体が整う上で、大切な臓腑です。

次回は理論・応用編]第九章:五臓六腑(について、お話いたします。

[理論・応用編]第九章
五臓六腑(脾・肺)とは?

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今回はここまで!

東洋医学における『五臓六腑』は、西洋医学の解剖学的な観点とは異なります。

ただ、その違いだけでなく、「どこが、どうつながっているのか」。

つながり”を意識して捉えることで、西洋医学や現代医療における、自分の判断軸:モノサシの幅が広がっていきます。

内容も色濃くて、とても深いのですが、ぜひ東洋医学における『五臓六腑』の見方をつかんでいただけたらと考えます。

本質はどこにあるのか、どのようなイメージ・言葉で捉えたら良いのか?

少しずつ頭の中で整理していき、確認をしながら理解を深めていきましょう!

何が大事なのか?」・「ポイントは何か?」という視点を大切に!
佑:Task

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美容薬剤師 佑:Task

【読めばナルホド!大事なポイントが分かる東洋医学】

基礎編

第一章:西洋医学とは?

第二章:東洋医学とは?

第三章:陰陽論

第四章:氣

第五章:血・津液

第六章:証(虚実・寒熱・表裏)

理論・応用編

第七章:五行論

第八章:五臓六腑(肝・心)(←今回はコレ!)

第九章:五臓六腑(脾・肺)

第十章:五臓六腑(腎・三焦)

第十一章:薬膳・漢方

番外編

第十二章:黄帝内経に基づく身体の変化

 

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