こんなお悩みはありませんか?
【ビタミンD】は“日光ビタミン”とも称され、肌に存在する【ビタミンD】は紫外線(UV-B)により活性化を受けて、私たちの健康のために働いております。
また、主に魚・キノコ類に含まれており、食事からも補給されています。
従来より、【ビタミンD】は血中の【カルシウム】と骨の健康に重要とされてきました。
しかし、それだけでなく、近年では正常な細胞の活動維持から免疫機能、メンタルヘルス、貧血、糖尿病などにも関与していることがわかってきて、【ビタミンD】の重要性が注目されています。
ただ、すごく大事な栄養素にも関わらず、まだ十分には認知されていないことも多く、他の栄養素に目が行きがちで軽視されてしまうことが多いです。
また、【ビタミンD】の生理作用は難しいところ(難しく解説されていることも...)も多いと感じます。
そこで今回、美容薬剤師 佑:Taskが『“日光ビタミン” ビタミンD|インナーケア』をテーマに、科学的根拠をもとにしてわかりやすくまとめてみました。
このページを読めば、【ビタミンD】についてスッキリ理解ができます!
【栄養素ガイド】として“永久保存版”な内容で、きっとあなたの健康投資に重宝します。
ぜひブックマークして、ご自身の健康生活に役立ていただけたらと考えます。
ビタミンDとは?
【ビタミンD(カルシフェロール)】は脂溶性ビタミンです。
【ビタミンD】は体内で代謝されて【活性型ビタミンD3】となり、細胞にある核内受容体(VDR)と結合して、生体機能に関わる100~1,250の遺伝子の発現を調整します【参考文献】。
骨の形成と成長、腸管からの【カルシウム】の吸収促進、腎臓の尿細管での【カルシウム】と【リン】の再吸収。
さらには、表皮細胞の分化・増殖の調整、細胞間タイトジャンクションの形成、炎症性サイトカイン抑制による抗炎症作用。
抗菌ペプチドの産生促進及び免疫細胞の増殖による免疫システムの調節・強化、血圧上昇ホルモン:レニンの分泌抑制など。
私たちにとって、【ビタミンD】はなくてはならないとても大切なビタミンです。
ビタミンDの主な働き
【ビタミンD】は各種の生理作用を発揮し、私たちの健康に大きく関与します。
その分、【ビタミンD】が不足すると、さまざまな悪影響が見られるようになります。
身体全体のバランス・調子を整えるためにも、【ビタミンD】はしっかりと補給していきたいところです。
ビタミンD2とD3
【ビタミンD】には6種類の同族体(*構造は異なるが、化学的性質が互いによく似た物質)が確認されています。
しかし、【ビタミンD】として、私たちの身体で作用するものは2つだけです。
●ビタミンD2:エルゴカルシフェロール
◯ビタミンD3:コレカルシフェロール
【ビタミンD2】はきのこ類、【ビタミンD3】は魚類に主に含まれます。
食事による【ビタミンD】は、胆汁により消化されて、小腸で吸収後、門脈を通って、肝臓へと運ばれます。
また、ヒトの皮膚細胞(真皮線維芽細胞および表皮角化細胞)には、【ビタミンD】の前駆体 (*一連の化学反応において、ある物質が生成される前の段階の物質のこと)である、【プロビタミンD3】の「7-デヒドロコレステロール(7-DHC)」が存在します【参考文献】。
7-DHCは紫外線(UV-B)を浴びることで【プレビタミンD3】となり、体温による熱異性化で【ビタミンD3】へと変化します。
皮膚で生成された【ビタミンD3】は、ビタミンD結合タンパク質(DBP)と結合して、血液循環により肝臓へ運ばれ、貯蔵されます。
ヒトの【ビタミンD】の主な供給源は皮膚からの合成であり、食事からの摂取は【ビタミンD】の循環レベルの20%未満です【参考文献】。
「胆汁」とは?
ビタミンDの活性化
体内で活性化した【ビタミンD】を【活性型ビタミンD3】といいます。
【ビタミンD】が生理作用を持つためには、肝臓と腎臓における代謝過程を経て、「活性型」になる必要があります。
食事・サプリメント及びヒトの皮膚から供給された【ビタミンD】は肝臓へ供給されます。
そして、「酵素:25-ヒドロキシラーゼ(CYP27A1)・ミクロソーム型ビタミンD-25位水酸化酵素(CYP2R1)」によって代謝されて、「25-ヒドロキシビタミンD3[25(OH)D]」となり、肝臓で貯蔵されます。
血液中の[25(OH)D]は、ビタミンD結合タンパク質(DBP)と結合して安定化しており、血液循環により各組織へ供給されます。
腎臓へ運ばれると、「酵素:1α-ヒドロキシラーゼ(CYP27B1)」によって代謝されると、「1α,25-ジヒドロキシビタミンD3[1,25(OH)2D]」となります【参考文献】。
(*「CYP27B1」は腎臓以外でも、さまざまな組織で発現していることが確認されています【参考文献】。)
この[1,25(OH)2D]を【活性型ビタミンD3】といいます。
【活性型ビタミンD3】は細胞の核内受容体(VDR)と結合して、生理作用を発揮します。
ビタミンDと骨のリモデリング
私たちの身体の中には、大小206本の骨があります。
骨は身体を支えて動かす、脳や内蔵を守る、【カルシウム】を貯蔵する、血液中の【カルシウム】を一定に保つ(約9〜10mg/dL)、血液を作るなどの働きがあります。
【ビタミンD】は「骨のリモデリング」に関与し、骨を丈夫にして、筋力を高めます。
「骨吸収」では破骨細胞の形成と活性化を促進、「骨形成」では骨の基質部位(骨質)へのヒドロキシアパタイト(骨塩)の沈着、及び、腸管からの【カルシウム】の吸収を促進します。
これらの作用により、骨の強度が保たれ、骨の健康が維持されます。
【ビタミンD】の血中濃度が「20ng/mL以下」の日本人女性は、20 ng/mL以上と比較して、5年間で非脊椎性、及び、脆弱性骨折のリスクが高いという研究結果もあります【参考文献】。
また、【ビタミンD】の血中濃度は、高齢者のサルコペニア(筋量低下)や転倒とも関連があることが示されています【参考】。
「骨のリモデリング」とは?
ビタミンDと免疫
【ビタミンD】は“免疫ビタミン”とも称されるほど、免疫系に非常に重要なビタミンです。
【ビタミンD】は自然免疫と獲得免疫に関与しており、【ビタミンD】欠乏は免疫力の低下を招きます【参考文献】。
【ビタミンD】は「カテリシジン(LL-37)」や「デフェンシン(hBD-2)」といった「抗菌ペプチド」の産生を促進し、気道や腸などの粘膜の防御を強化します【参考文献】。
その結果、細菌やウイルスなどの外敵に対して、抵抗性を持つようになります。
つまり、風邪などの発症リスクを下げ、感染症の予防にも成りうるのです【参考文献】。
【ビタミンD】は核内受容体(VDR)と結合すると、細胞の増殖と分化を調節します。
核内受容体(VDR)は、樹状細胞やマクロファージといった制御性T細胞や抗原提示細胞などの免疫系のほとんどの細胞で発現しています【参考文献】。
【ビタミンD】がVDRと結合することで、インターロイキン10(IL-10)が増えます【参考文献】。
IL-10は赤血球前駆細胞の炎症反応を抑制、さらに、炎症により誘発されるサイトカイン(IL-2、IL-3、TNFαなど)の放出を抑制します。
(*【ビタミンD】が欠乏すると、炎症性サイトカイン(IL-6、IFNγなど)やTh1免疫応答などの指標が上がることもわかっています。)
【ビタミンD】が“免疫ビタミン”とも称されるのは、このような作用があるからです。
ビタミンDとガン
【ビタミンD】が免疫・炎症反応を抑制するということで、「ガン」とも関係しているとされます。
【ビタミンD】の血中濃度と直腸ガンによる死亡者数では、血中濃度が高くなるほど、死亡リスクが減少しました【参考文献】。
また、【ビタミンD】の血中濃度が低くなることによって、男性:4.6倍・女性:2.7倍の大腸ガンの発生率が上がることが報告されています【参考文献】。
大腸ガンのリスクだけでなく、乳ガンなどの他のガンにおいても、【ビタミンD3】が関与していると考えられています。
血中の【活性型ビタミンD3】は、代謝酵素である「CYP27B1」と「CYP24A1」で調整されています。
CYP27B1は[25(OH)D]→[1,25(OH)2D]へと、【ビタミンD3】が【活性型ビタミンD3】へと代謝するために必要です。
一方、CYP24A1は【活性型ビタミンD3】の分解に働きます。
正常な細胞では、CYP27B1の発現は【活性型ビタミンD3】により抑制され、CYP24A1は【活性型ビタミンD3】により誘導されるため、【活性型ビタミンD3】の血中濃度はほぼ一定に保たれています。
しかし、ガン細胞ではこのバランスが崩れ、CYP27B1が減少し、CYP24A1の発現が増加するため、【ビタミンD】の生理作用が低下します【参考文献】。
ガンを予防するためにも、“免疫ビタミン”である【ビタミンD】で身体を守ることが大切です。
ビタミンDと美肌
【ビタミンD】は皮膚の免疫機能・健康を維持するためにも重要です。
ヒトの皮膚細胞(真皮線維芽細胞および表皮角化細胞)には【ビタミンD】の前駆体 である、【プロビタミンD3】の「7-デヒドロコレステロール(7-DHC)」が、皮膚1gあたり約250μgの濃度で存在しています。
7-DHCは紫外線(UV-B)を浴びることで【プレビタミンD3】となり、体温による熱異性化で【ビタミンD3([25(OH)D])】へと変化します。
また、皮膚の表皮細胞には腎臓と同じく、【ビタミンD】を活性化する酵素:1α-ヒドロキシラーゼが発現しているため、皮膚においても【活性型ビタミンD3】が合成されます【参考文献】。
これが皮膚細胞の核内受容体(VDR)と結合して、皮膚にも生理作用を発揮します。
表皮細胞の分化・増殖に働くだけでなく、「皮膚のバリア機能」及び「水分保持能」に関与する「クローディン」と「オクルディン」の産生を促進。
「タイトジャンクション」という細胞同士の結びつきを強化することも報告されています【参考文献】。
肌の免疫機能・健康を維持するためにも、【ビタミンD】は必須な栄養素です。
【ビタミンD】とニキビ
ビタミンDとメンタルヘルス
【ビタミンD】は(幸せホルモン)セロトニンの脳内おける濃度を上げて、その働きをサポートします【参考文献】。
【ビタミンD】はセロトニン合成酵素(トリプトファンヒドロキシラーゼ)を誘導して、【トリプトファン】からセロトニンの合成を促進します。
また、セロトニンを再取り込みする輸送体(SERT)と分解酵素(MAO-A)の遺伝子発現を抑制します。
ニューロン(脳の神経細胞)の接合部:シナプス間におけるセロトニンの濃度を上げます。
セロトニンは意欲や気分、満足感、睡眠などのメンタルに大きな影響を与えます。
【ビタミンD】は脳と心の健康にも大切です。
ビタミンDと睡眠
【ビタミンD】は睡眠を良くするためにも必要です。
まず、良質な睡眠を促す(睡眠ホルモン)メラトニンは、(幸せホルモン)セロトニンから作られます。
『ビタミンDとメンタルヘルス』でもお話したとおり、【ビタミンD】は(幸せホルモン)セロトニンの脳内おける濃度を上げるためにも重要です。
また、【ビタミンD】の核内受容体(VDR)は、睡眠−覚醒サイクルを調節する脳の視床下部でも発現しています。
【ビタミンD】の血清レベルが低い人は、睡眠の質が低いことがわかっています【参考文献】。
【ビタミンD】が「20ng/mL以下」のヒトは、約60%も睡眠の質の低下のリスクを増加させます【参考文献】。
睡眠の質の低下は私たちの健康に悪影響を及ぼすことはご存知であるかと思います。
【ビタミンD】は快眠のためにも重要です。
天気が悪い日の日光浴は?
◯ 晴れた日の南や東向きの窓側:2,500ルクス
● 雨の日の屋外:5,000 ルクス
● 曇りの日の屋外:10,000 ルクス
◯ 晴れた日の屋外:100,000 ルクス
ビタミンDと認知機能
肝臓だけでなく、脳内でも【ビタミンD】を代謝活性化する酵素:1α-ヒドロキシラーゼ(CYP27B1)が産生されていて、【活性型ビタミンD3】が合成されます【参考文献】。
また、核内受容体(VDR)は、海馬などの記憶に関与する領域を含む脳全体に発現しています【参考文献】。
【活性型ビタミンD3】はVDRと結合すると、脳内で神経細胞の保護、増殖・分化の調節を行います。
その結果、脳機能がうまく働くようになります。
【ビタミンD】の濃度が高いほど、全般的な認知機能も高くなります【参考文献】。
また、【ビタミンD】の欠乏は「認知症」のリスクの大幅な増加と関連していることも確認されています【参考文献】。
【ビタミンD】は潜在的な脳血管保護の役割が示唆されています【参考文献】。
【ビタミンD】はマクロファージを刺激して、認知症の原因となる「アミロイドβ(Aβ)」を貧食、つまり、脳内をお掃除してくれます。
脳の健康、認知機能を良くするために、【ビタミンD】が重要であると考えられています。
ビタミンDと貧血
「貧血」というと、【鉄】をイメージされる方も多いですが、実は【ビタミンD】も関わっています。
【ビタミンD】は赤血球の前駆細胞の増殖及び成熟をサポートします。
【ビタミンD】が核内受容体(VDR)と結合することで、インターロイキン10(IL-10)を増やします。
IL-10は赤血球前駆細胞の炎症反応を抑制、及び、赤血球の増殖に働きます。
また、【ビタミンD】欠乏及び炎症反応により、【鉄】の代謝を調節するホルモン:ヘプシジンの発現が促進され、機能的に鉄欠乏となるため、貧血に至ります【参考文献】。
ヘプシジンは肝臓で生成され、鉄輸送体である「フェロポルチン(FPN)」の分解を促進します。
その結果、細胞内のマクロファージにある貯蔵鉄の血中への移行を抑制、及び、腸管からの【鉄】の吸収が低下するため、十分な赤血球の造血ができず、ヘモグロビン濃度が低下します。
【ビタミンD】が欠乏している人は充足している人と比較して、「貧血」を発症するリスクが64%高いです【参考文献】。
【鉄】を補給することも大切ですが、貧血を予防するためにも、【ビタミンD】を補給することも大切です。
ビタミンDと糖尿病・肥満
【ビタミンD】と糖尿病、そして、肥満と関連していることが明らかになっています。
【ビタミンD】の血中濃度が高い群は低い群と比べて、2型糖尿病のリスクが64%低く、【ビタミンD】と【カルシウム】の不足は血糖に悪影響を及ぼす可能性があることが報告されています【参考文献】。
また、肥満は【ビタミンD】不足になる可能性があります。
非肥満者と比較して、肥満者は【ビタミンD】の血中濃度が57%低いことが示されました【参考文献】。
肥満の人は脂肪細胞が多いため、脂溶性ビタミンである【ビタミンD】を多く抱え込んでしまい、身体が利用できる(血中に放出される)【ビタミンD】が低下してしまうからです。
【ビタミンD】が少ないと、脂肪細胞への分化が促進されることから肥満にもつながり、さらに、抗炎症作用も発揮されず、肥満関連の代謝障害、インスリン抵抗性が低下する可能性があります【参考文献】。
そして、結果的に「メタボリックシンドローム」や「生活習慣病」につながることとなります。
肥満の人は【ビタミンD】のサプリや日光浴をしても、血中濃度が上昇しにくいです。
そのため、肥満とならない生活習慣も大切です。
ビタミンDと妊娠
【ビタミンD】は排卵・着床などに関係し、妊娠を助ける大切な栄養素です。
卵巣・子宮・胎盤・精巣などの生殖器にも核内受容体(VDR)が存在することから、【ビタミンD】は妊娠の成立に大きく関わっていることが、明らかになっています【参考文献】。
【妊娠前】
また、妊娠中に【ビタミンD】を十分に摂取することで、出生後の子どもが「小児ぜんそく」にかかるリスクが大きく低下することもわかっています【参考文献】。
【ビタミンD】は妊娠に大切な栄養素であることがわかります。
ビタミンDと他の栄養素の相互作用
【ビタミンD】は、【カルシウム】だけでなく、他の栄養素とともに生体内で働きかけて、私たちの健康を維持するために活躍してくれます。
ここでは身体の土台である【タンパク質】、必須ミネラルである【マグネシウム】。
そして、【ビタミンK】との関係性についてお話いたします。
タンパク質
【ビタミンD】は、血液中では「ビタミンD結合タンパク質(DBP)」と結合して、各組織へ運ばれます。
つまり、【タンパク質】が十分でないと、【ビタミンD】の生理機能が低下します。
【タンパク質】はカラダのベースとなる重要な栄養素です。
不足すると、私たちの身体は正常な状態を維持できなくなり、様々な影響が出ます。
それは【ビタミンD】の働きにも影響を及ぼすのです。
マグネシウム
【マグネシウム】は【ビタミンD】を代謝・活性化するために必要なミネラルです【参考文献】。
【ビタミンD】が肝臓・腎臓で代謝されて、【活性型ビタミンD3】となるためには、【マグネシウム】が必要となります。
また、血液循環の際、【ビタミンD】は血液中で「ビタミンD結合タンパク質(DBP)」と結合しますが、【マグネシウム】がこの結合をサポート。
身体の各組織に【ビタミンD】が行き渡り、その効果及び生理作用を発揮するためには、【マグネシウム】は欠かせないミネラルなのです。
持ちつ持たれつつの関係
【ビタミンD】が欠乏すると、腸管からの【マグネシウム】の吸収が低下します【参考】。
また、【ビタミンD】を大量に摂取すると、【マグネシウム】の消費量が増えてしまい、【マグネシウム】の不足を招いてしまいます。
【ビタミンD】と【マグネシウム】は“持ちつ持たれつつ”の関係なのです【参考文献】。
そのため、【ビタミンD】をサプリメントで補う際は、同時に、【マグネシウム】もいっしょに補うことが重要となります【後述】。
ビタミンK
丈夫な骨を作るためには、【ビタミンD】とともに、【ビタミンK】も重要です。
【ビタミンK】は「骨のリモデリング(骨形成)」のために重要な栄養素の一つ。
骨に存在する「オステオカルシン(カルシウム結合タンパク質)」を活性化し、【カルシウム】の骨への沈着を促します。
また、コラーゲン生成を促進して、骨質を改善します。
【ビタミンD】は、「骨形成」では骨質へのヒドロキシアパタイトの沈着、及び、腸管からの【カルシウム】の吸収を促進します。
しかし、【ビタミンK】が不足すると、【ビタミンD】で腸管から吸収及び「骨吸収」による【カルシウム】が血中が残ってしまい、血管を「石灰化」してしまう可能性があります【参考文献】。
血管の石灰化は動脈硬化よりも厄介で、血管が劣化、衰えてしまいます。
野菜や発酵食品に多く含まれる【ビタミンK】は腸内細菌によってもつくられるため、基本的に不足することはありません。
しかし、腸の状態が悪かったり(【ビタミンD】不足の影響もあるかも?!)、偏食により【ビタミンK】が欠乏することもあります。
【ビタミンK】には血管の石灰化を抑える働きがあることからも、【ビタミンD】とセットで必要であると考えられます【参考文献】。
ビタミンDの栄養状態(充足度)
【活性型ビタミンD3】である[1,25(OH)2D]は、身体の恒常性を保つために、【カルシウム】・【リン】・パラトルモン(PTH)・FGF-23によって、厳密に制御されています。
[25(OH)D]は[1,25(OH)2D]と比べて、1,000倍の高濃度で存在します。
(*[25(OH)D]の測定単位:ng/mL、[1,25(OH)2D]の測定単位:pg/mL)
また、[25(OH)D]の半減期は約2〜3週間である一方で、[1,25(OH)2D]の半減期は約4〜6時間と非常に短いです【参考文献】。
そのため、【ビタミンD】の栄養状態(充足度)を評価するには、生体内に最も多く存在する[25(OH)D]の血中濃度で判断するのが適しています。
日本内分泌学会の「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」では、「30 ng/mL以上」を【ビタミンD】充足状態の判定基準としています。
【ビタミンD】の判定基準
- 〜20 ng/mL:欠乏
- 20〜30 ng/mL:不足
- 30〜50 ng/mL:正常値
- 50〜80 ng/mL:至適値
*【ビタミンD】の理想的な血中濃度については、2015年に代替療法の権威ある学会:ACAM(アメリカ)では「50〜80 ng/mL」と示されています。
ただし、[1,25(OH)2D]の検査は保険適用されますが、[25(OH)D]の検査は保険適用外(自費検査)となります。
「自分の【ビタミンD】のレベル」を知りたい方は、検査を受けられるクリニックや医療機関を探す必要があります。
「パラトルモン(PTH)」とは?
「FGF-23」とは?
ビタミンDの血中濃度と関連疾患
【ビタミンD】が不足すると、各種の疾患を引き起こすリスクとなります【参考書籍】。
近年では【ビタミンD】の主な供給源である魚類の摂取量の減少、過度の紫外線対策により、男女を問わず、あらゆる年代で慢性的な【ビタミンD】の不足が懸念されます。
特に、紫外線の量が減る秋〜冬にかけて、夏と比較して、【ビタミンD】の血中濃度が低下する傾向にあります。
国内で調べた調査では、11月に「日本人の男性:3割・女性:6割」で、【ビタミンD】が「20 ng/mL以下」と欠乏していることが明らかになっています【参考文献】。
他にも、50歳以上の日本人女性を対象とした試験では、5割の人が欠乏、9割の人が不足という結果もあります【参考文献】。
私たちの身体の健康のためにも、正常値から至適値である「30〜80 ng/mL」を維持したいところです。
季節による紫外線の量
ビタミンDの血中濃度が上がるまで
【ビタミンD】の血中濃度はすぐには上がりません【参考文献】。
【ビタミンD3】を21週間、「1,000 IU・5,000 IU・10,000 IU」の3つの量で毎日取った時の血中濃度のデータより、【ビタミンD】の血中濃度を上げていくのに、時間がかかるのが見て取れます。
「なぜ、ビタミンDの血中濃度を上げるのに時間がかかるのか?」
...と思う方もいらっしゃるかと思います。
これは【ビタミンD】が「脂溶性ビタミン」であることに関係します。
そもそも、血液は「水分」でできていて、基本、「油分」に水に溶けません。
肥満の人は、脂肪細胞がたくさんあるため、【ビタミンD】もその中に溶け込んで保有してしまいます。
そして、血中に放出される(身体が利用する)【ビタミンD】が減ってしまうからです【参考文献】。
(つまり、体重が多ければ多いほど、体内の【ビタミンD】の血中濃度は下がりやすくなり、肥満の人はやせた人よりも2〜3倍の【ビタミンD】が必要とされる。)
また、【ビタミンD】が吸収されるためには、コレステロールから胆汁が十分に作られていて、消化がしっかりできていること。
そして、血液循環の際、血液中で【ビタミンD】と「ビタミンD結合タンパク質(DBP)」と結合するために、【タンパク質】が十分であること。
【ビタミンD】がしっかりと代謝されていること(【マグネシウム】が足りているか?)。
これらが関係しているため、総合的に【ビタミンD】の血中濃度が上がるまでに時間がかかるのです。
日光を浴びることをベースに、肥満の人は食事・サプリメントによる【ビタミンD】の補給は多めにすると良いと考えられます。
友人より提供
画像の資料は、そのまま私がお世話になっているメンター・友人(体型:普通、アトピー性皮膚炎)の方にご提供していただいたものです【参考サイト】。
2019年6月5日から【ビタミンD3】10,000 IU/日 を定期的に摂取開始、2020年10/23からは毎日、10,000 IU/日を摂取したところ...
- 2019年6月5日:20.0ng/mL
- 2020年10月23日:63.0ng/mL
- 2021年6月8日:78.4ng/mL
...と時間がかかったとのこと。
「今は全く風邪を引かなくなった」とのことで、【ビタミンD】の血中濃度を上げたおかげと考えていらっしゃいます。
ビタミンDはどれくらい補給すれば良いのか?
血中の【ビタミンD】のレベルを保つためには、食事・サプリメントからの摂取、紫外線(UV-B)による照射が基本です。
結論から話すと...
【基本】食事(目安:8.5μg/日)+天然の魚油由来サプリメント(目安:2,000IU/日)+日光浴(1日20分)
...となります。
「単位:IU」とは?
食事
成人目安量:8.5μg/日(340 IU/日)
食事では植物性(きのこ類)から【ビタミンD2】、動物性(主に魚類)から【ビタミンD3】を摂取します。
野菜や穀物、イモ類、豆類には含まれず、肉も多くはありません。
日本人が摂取する【ビタミンD】の90%以上は魚類から摂取されていて、きのこ類からは4.4%です。
食事摂取基準(2020年版)では、日常生活における皮膚での産生量を考慮し、「血中濃度:20ng/mL」以上に維持して骨折リスクを増大させない摂取量として、「成人目安量:8.5μg/日(340 IU/日)」と策定されました【参考資料】。
(*成人の「身体活動レベル:ふつう」で、耐容上限量:100μg/日 = 4,000 IU/日。ただし、これまで公表された【ビタミンD】のリスク評価では、大部分の健康な人にとって安全な摂取量は、250 μg/日 = 10,000 IUとしている報告もあります【参考文献】)。
しかし、【ビタミンD】を含む食品の摂取量の低下。
そして、日本人は慢性的な【ビタミンD】不足がみられることからも、この目安量では「少ない」と考えられ、サプリメント・日光浴からも【ビタミンD】を補給する必要があります。
食事からビタミンDは取らなくても良い?
サプリメント
【ビタミンD】のサプリメントは市場に多数出回っていて、「カプセルタイプ」のものから「ミセルタイプ」のものまであります。
ひとまず、【ビタミンD3(Vitamin D-3)】とラベルに書かれたものを選択してください。
そして、消化が落ちている人は、「ミセルタイプ」を選ぶと良いです。
「ミセルタイプ」は乳化されていることから、胆汁による消化が不要であるため、吸収されやすいからです。
また、「天然」のものを選ぶようにしましょう。
【ビタミンD】のサプリメントを摂取する時のポイントは...
「食事の時に摂取すること」
これは【ビタミンD】が「脂溶性ビタミン」だからです。
食事によって、胆汁が分泌されるため、胆汁と混ざることで消化・吸収されやすくなります。
なぜ「天然」が良い?
市販されている【ビタミンD】のサプリメントの中には、原材料として「羊毛」が使われていたりします。
刈り取られた羊毛に紫外線を照射することで、[25(OH)D]が生成されます。
これを抽出して、サプリメントの原料としているのです。
ただ、私たちの身体にとって、栄養素はできるだけ「天然物」または「天然に存在するものに近い組成であるもの」が良いです。
古くから、人は「魚(魚油)」から【ビタミンD】を摂取していました。
昭和でいえば「タラ肝油」です。
そのため、【ビタミンD】のサプリメントの原材料は「天然の魚油由来」であることが望ましいのです。
なぜ「2,000 IU/日」を目安?
【ビタミンD】の量:「2,000 IU/日」と聞いて、「あれ?ちょっと少ないかな?」と思う方もいらっしゃるかと思います。
まず、この「2,000 IU/日」は、『オーソモレキュラー栄養療法(分子栄養学)』における必要量となります。
もちろん、2,000 IU/日以上をサプリメントで摂っても良いです(*「肥満」の人は特に、金銭的な余裕があれば...)。
ただ、【ビタミンD】のサプリメントを「高容量」で摂取するのであれば、もう一つ、「大事な栄養素」もいっしょにしっかりと摂っていただきたいです。
【マグネシウム】
先にも述べましたが、【ビタミンD】と【マグネシウム】は“持ちつ持たれつつ”の関係です【参考文献】。
【ビタミンD】が体内で代謝・活性化、血液循環する際に、【マグネシウム】が必要となります。
つまり、【ビタミンD】の生理的な効果を期待する、特に「5,000 IU」・「10,000 IU」などの「高容量」をサプリメントで摂取するのであれば、【マグネシウム】もしっかりと補給する必要があるのです。
しかし、現代の食生活では、外食や加工食品の増加、ジャンクフードなどを食べる機会が多く、【マグネシウム】が含まれるような豆類、ナッツ類、海藻類、野菜類などの摂取が不足しています。
そこで、【マグネシウム】も「サプリメント(栄養補助食品)」で補うことをおすすめします。
医薬品のビタミンDは?
骨粗鬆症の治療薬として、医薬品(処方せん)で取り扱う「ビタミンD製剤(例:アルファカルシドール、ロカルトロール)」があります。
これらは、いずれも【活性型ビタミンD3】に近い構造であるため、体内へ吸収後は強い生理活性を発揮します。
それなら、「サプリメント」ではなく「医薬品」で補給すれば良いと思われがちです。
しかし、【活性型ビタミンD3】である[1,25(OH)2D]は、恒常性を保つために、体内では「低濃度」で厳密に制御されています。
「医薬品」で補給した場合、強い活性を有するため、『高カルシウム血症』などの「副作用」のリスクが出てきます。
そのため、「サプリメント(栄養補助食品)」で補う方が良いのです。
日光浴
日光浴(1日20分)
食事による【ビタミンD】の補給と同じくらいに、日光浴による【ビタミンD】の補給も重要です。
皮膚にある7-DHCは、紫外線(UV-B)を浴びることで代謝されて、最終的には【活性型ビタミンD3】へと変化して、生理作用を発揮します。
肌の露出度を10%として、東京都内で夏に直射日光を30分浴びると、【ビタミンD】は「700-800 IU」できるとされます【参考文献】。
UV-Bは服やガラスを通れないため、インドアワーカーなどの室内で過ごすことが多い人や過度の紫外線対策によって、【ビタミンD】不足になっている可能性があります。
紫外線は「光老化」の原因となるためが嫌悪されがちですが、「全く浴びない」というのは、逆に“リスク”となり、一説には「日光を避けるのはタバコと同じぐらい身体に悪く、日光を避けると死亡率が増える」とされます【参考文献】。
また、年齢が上がるにつれて、日光浴により皮膚でつくられる【ビタミンD】が作られる量は減っていきます。
80歳までに、表皮細胞にある7-DHCの濃度は、最大で「1/3」まで減少することもわかっています【参考文献】。
つまり、「食事・サプリメント・日光浴」と、【ビタミンD】をバランス良く補うことが大切です。
ここまで読んで、私たちの健康に【ビタミンD】がどれだけ重要であるかはおわかりいただけたかと思います。
朝の散歩程度でも良いので、【ビタミンD】を補給するためにも、「1日20分」 を目安に日光浴をしましょう!
おすすめのサプリメント
【ビタミンD】はまずは毎日の食事からの摂取が基本となります。
しかし、現代の食生活では、魚・きのこ類を食べることも少なく、さらに、免疫の観点からも【ビタミンD】はサプリメントから摂取することも検討した方が良いです。
そこで、美容薬剤師 佑:Taskがおすすめするのが、『オーソサプリPro(ウェルネスプラス社)』シリーズの『D3フィッシュオイル』です。
『D3フィッシュオイル』は「タラ油」由来の【ビタミンD3】が主な成分。
1粒で「2,000 IU」配合(*1日2粒を目安)。
「ミセルタイプ」で乳化されているため、胆汁の分泌能・消化が低下している方でも比較的容易に吸収されます。
不足しがちな【ビタミンD】を効率よく摂取することができます。
まずは『D3フィッシュオイル』のページにアクセスして、ご確認ください。
【まとめ】インナーケアによるビタミンD補給で美と健康へ
『【栄養素ガイド】“日光ビタミン” ビタミンD|インナーケア』をテーマに、科学的根拠をもとにしてわかりやすくまとめてみました。
【ビタミンD】は日々の健康を維持するためにも大切なビタミンです。
基本的には毎日の食事からの摂取、そして、日光浴による補給が大事ですが、現代人は不足していることが多いです。
「食事・サプリメント・日光浴」と、【ビタミンD】をバランス良く補っていきましょう。