【美肌の基本】(その2)では『自分の肌タイプはどれ?|チェックシート付き』について、お話いたしました。
適切なスキンケアをするためには、まず「自分の肌タイプ」を知ることが大切です。
自分の肌タイプがわかると、「自分はどういうスキンケアをすれば良いのか」を知る手がかりとなります。
さて、それでは「美肌のためのスキンケア」のポイントについて、実践形式でお話していきます。
スキンケアには重要なポイントが「3つ」あります。
スキンケアにおける3つの重要なポイント
- 保清
- 保湿
- 保護
この3つのポイントをしっかりと抑えて、美肌を目指していきましょう!
【美肌の基本】(その3)では『肌を清潔に保つ|保清のポイント』について、わかりやすくお話いたします。
合い言葉は...
“クルクル、クルクル♪”
です!(*洗顔の際に、口ずさんでみてください!)
ぜひ最後までお付き合いください。
\ 大人の肌悩みを解決!! /
保清の重要性
「『保清』って何?なんで保清が大切なの?」
『保清』という言葉に馴染みが薄い方もいるかと思いますので、詳しく説明します。
私たちの肌は、皮脂や汗の分泌、空気や水分の吸収、さらに異物からの保護といった役割を果たしています。
これにより、身体のバランス、恒常性を保っています。
しかし、日常生活の中で、不規則な食生活や栄養状態の低下、皮脂や汗の分泌が減ることによる内部からの影響。
間違ったスキンケアをはじめ、紫外線や乾燥、アレルギー物質、病原菌などの外的要因により、私たちの肌の環境は容易に崩れてしまいます。
「腸内環境」と同じように、肌にも「良い環境」が求められます。
肌の環境が不衛生な状態であると、老廃物や汚れが蓄積し、“肌トラブル”の原因となります。
そこで、肌トラブルを予防し、美肌を保つためには『保清』、つまり、「肌を清潔に保つスキンケア」が非常に重要となるのです。
「肌を清潔に保つ」の真意とは?
「肌を清潔に保つ」とは、具体的には「肌の常在細菌が住みやすい環境を整える」ということを意味します。
腸内細菌と同じく、肌にも(目には見えないものの)常在細菌が存在して、安定した叢(フローラ)を形成しています【参考文献】。
興味深いことに、この常在細菌には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類があり、腸内の細菌と類似しています。
これらの細菌は、肌の機能を維持するために不可欠です。
腸内環境が整うと身体の調子が良いように、肌の環境を良好に保つことで、より健康的な肌を獲得できます。
これは、『腸活』と同様に、『肌活』も重要だということを意味します。
要するに、「肌を清潔に保つ」とは、肌の常在細菌の環境を最適化するということです。
この点は、スキンケアにおいて非常に大切なので、心得ておきましょう。
肌の常在細菌(ちょっとマニアックな話)
私たちの肌には数多くの細菌が生息しています。
これらの細菌は、私たちの健康を守る大切な役割を果たしているのです。
驚くべきことに、人の肌には30兆以上の細菌が生息しているとされます【参考文献】。
さて、マニアックなお話をしましょう。
顔に存在する細菌の中で特に多いのは「アクネ菌」、次いで「表皮ブドウ球菌」が多く存在します。
これらの細菌は、皮脂を栄養とする過程で脂肪酸を作り出し、肌を「弱酸性」に保つ効果があります。
その結果、病原性細菌(黄色ブドウ球菌など)の増殖を抑えています。
「アクネ菌」はニキビの原因として知られていますが、実は肌の健康を守る役割も果たしているのです。
言い換えれば、彼らは肌にとって「必要な存在」と言えるのです。
また、最近の研究では、肌の老化と細菌叢の関係が注目されています。
細菌の存在比率によって、肌のキメやハリ、色調に影響を与えることが明らかになってきました【参考書籍】。
加齢とともに「アクネ菌」の割合が変化すること、そしてそれが肌の老化に関わっている可能性も考えられています。
さらに、肌の状態は細菌叢だけでなく、各人の体質や生活環境にも影響されます。
いずれにしても、肌の常在細菌が快適に生息できる環境を整えること。
これが、美しい肌を保つ鍵であると言えるでしょう。
【保清の基本】優しく洗う
【保清の基本】「優しく洗う」
私たちの肌は、皮脂や汗、古くなった角質(垢)、化粧品や紫外線、外部からのホコリなどの影響を受け、時間の経過とともに「汚れ」として蓄積されます。
この蓄積された汚れは、時間が経つと酸化したり、さらに蓄積することで、さまざまな“肌トラブル”の原因になります。
特に、酸化した皮脂は注意が必要です。
肌に汚れが溜まると、肌の健康的なpHバランス(弱酸性:4.5〜6.0)の維持が難しくなります。
さらに、肌のバリア機能を果たす皮脂膜の生成も阻害され、これが「肌の常在細菌が住みにくい環境」を生み出してしまいます。
また、「汚れ」を落とすために、1日に何回も洗う、“ゴシゴシ”と強く擦って洗う、刺激が強い石けんで洗うと、肌は余計に傷ついてしまい、常在細菌のバランスが崩れるリスクがあります。
そのため、【保清の基本】はまず「優しく洗う(*1日2回まで)」ことが大事です。
具体的には...
「赤ちゃんの肌を洗うような優しさで」
この感覚で肌をケアすることが、最も理想的です。
【低刺激で泡立つもの】保清のための石けんの選び方
肌を優しく洗うためには、「何を使って洗うのか」、つまり、石けんの選び方も非常に重要です。
石けんは『低刺激で泡立つもの』を選びましょう!
現在、市販の石けんの中には、合成の界面活性剤(例:ラウリル硫酸ナトリウム)が配合されています。
「界面活性剤」とは、水と油を混ぜることができる物質を指します。
合成の界面活性剤は、石油と天然油脂を原料として合成され、洗浄力が強力であることが特徴です【参考】。
しかし、この強力な洗浄力は、肌の表皮の角質層を溶かす作用も強く、肌の健康的なpH(弱酸性)を維持する能力も低下させてしまいます。
この結果、肌のバリア機能が低下するだけでなく、常在細菌も住みにくくなり、肌へのダメージへとつながります。
そこで、肌を優しく、しかも効果的に洗うためには、『低刺激で泡立つもの』を選ぶことが求められます。
【クルクル洗い】保清のための洗い方
「低刺激で泡立つ石けん」を選んだら、文字通り、洗う時は必ず泡立たせましょう!
汚れは、泡を当てることで浮き上がってきて、泡が優しく汚れを包み込みます。
おすすめなのが「クルクル洗い」。
「“クルクル、クルクル♪”」
...を合い言葉に笑
泡を当てたら、こすらないようにして、泡を撫でるようなイメージで洗って、流し落としましょう。
そして、洗った後は肌触りの良いタオルを軽く当てて、優しく拭き取りましょう。
【ゆっくり入浴法】保清のための入浴
保清のためにも、「入浴」は大切です。
入浴により血行やリンパの流れが改善され、心身もリラックスする効果があります。
さらに、新陳代謝が促進されることで、“良い汗”をかきやすくなり、体温調節機能が活発になって、入眠効果も高まります。
また、毛穴が開き、角質が柔らかくなることで、汚れを落としやすくなります。
お湯の温度や浸かる時間は人それぞれ異なりますが、私がおすすめするお風呂の入り方、『【8STEP】ゆっくり入浴法』は次の通りです。
【8STEP】ゆっくり入浴法
- 30秒〜1分ほど、足から膝あたりまで、お風呂につかる。
- 3〜4分ほど、お風呂にゆっくりとつかる。
- 3分ほど、お風呂からゆっくりと出て休む(足湯でもOK)。
- 3〜4分ほど、お風呂にゆっくりとつかる。
- もう一度、3分ほど、お風呂からゆっくりと出て休む(足湯でもOK)。
- 3〜4分ほど、お風呂にゆっくりとつかる。
- お風呂から出て、タオルで優しく拭き取る。
- 入浴後10分以内にスキンケアと水分補給をして、15〜30分ほどゆっくりと休む。
*シャンプーや洗顔、身体を洗うのは[3]または[5]の休憩時にしましょう!
ポイントは...
「“ゆっくり”」とです。
お風呂に勢いよくつかると、心臓に負担がかかる可能性があります。
また、お風呂から急に上がると、立ちくらみ(脳貧血)のリスクが増えます。
お風呂には“ゆっくり”と入ることを心がけましょう。
また、お風呂の温度は「38〜40℃」が良いです。
長湯は体温が上がりすぎることで、かゆみの原因となったり、必要な皮脂を余分に落とすリスクがあるので注意が必要です。
【まとめ】肌を清潔に保とう
今回は『保清』について、お話いたしました。
美肌を手に入れるためのスキンケアには『保清』が不可欠です。
保清とは、肌にとって良い環境を提供し、常在細菌が住みやすい状態を維持することを指します。
以下が保清の主要なポイントです。
保清の主要なポイント
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【優しく洗う】保清の基本は「優しく洗顔する」ことです。
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【石けんの選び方】「低刺激で泡立ちの良い石けん」を選ぶことで、肌へのダメージを最小限に抑えます。合成界面活性剤が含まれる石けんは、洗浄力が強い反面、肌のpHバランスを乱す可能性があるため注意が必要です。
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【洗い方】「クルクル洗い」という、泡で汚れを包み込む方法が推奨されています。強くこすらず、泡で優しく洗顔することがポイントです。
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【入浴方法】「ゆっくり入浴法」を実践することで、血行やリンパの流れが改善され、新陳代謝も促進されます。温度は38〜40℃が最適で、長湯による体温の上昇や皮脂の過度な除去には注意が必要です。
以上のポイントを日々のケアに取り入れることで、美肌への第一歩を踏み出しましょう!
次回は『(その4)肌のバリア機能を高める|保湿のポイント』について、お話しいたします。
【美肌の基本】
(その1)肌の基礎知識|すこやかな肌の5大条件と3大お悩み要素
(その3)肌を清潔に保つ|保清のポイント(←今回はコレ!)
(その4)肌のバリア機能を高める|保湿のポイント
(その5)肌を守る|保護のポイント
(その6)紫外線対策|日焼け止めの選び方のポイント
(その7)春・夏・秋・冬|(季節別) 肌ケアのポイント