【読めばナルホド!大事なポイントが分かる東洋医学】の[基礎編]第四章:氣について、わかりやすくお話いたします。
前回、東洋医学における“バランスの概念”として【陰陽論】について理解を深めていきました。
[基礎編]第四章・第五章では、東洋医学の基本的な要素である〔氣(き)〕・〔血(けつ)〕・〔津液(しんえき)〕についてお話いたします。
東洋医学では...
人の身体はの3つの要素で構成されている。
...と考えられています。
これら3つは、人が生命活動を維持する上で最も重要とされます。
また、これらは“目に見えないもの”とされる〔氣〕と、“目に見えるもの”とされる〔血〕・〔津液〕に分けられます。
今回は〔氣〕について理解を深めていきましょう!
〔氣(き)〕とは?
多くの書物では「気」と表現されていますが、このサイトでは“エネルギー”と同じ扱いで『氣』と称します。
〔氣(き)〕“目に見えないもの”として扱われ、心と身体を動かして、生命活動を維持する“エネルギー”のこと。
〔氣〕は「正氣」・「精氣」・「陽氣」とも称され、【陰陽論】の【陽】に属します。
内臓はもちろん、〔血〕・〔津液〕を全身に巡らせるなど、身体にとって必要不可欠なもの。
これにより、身体を温めたり、五臓六腑に栄養を与えて、正常な活動を維持し、免疫力を保つなどの働きをします。
〔氣〕の乱れには、気が不足した【氣虚】。
そして、〔氣〕の巡りが悪い【氣滞】があります。
【氣虚】・【氣滞】では、気力・体力の不調から精神の不安定にもつながります。
感情の使い過ぎやストレスにより、〔氣〕は消耗します。
栄養補給をして、〔氣〕をしっかりと補うことが大切です。
〔氣〕は世界共通語?
天地の氣
〔氣〕は〔◯天の氣〕と〔●地の氣〕からなります。
〔◯天の氣〕“呼吸”により酸素を取り入れて、五臓の〈肺(肺臓)〉で作られる。
〔●地の氣〕“食事”により栄養を摂り入れて、五臓の〈脾(脾臓)〉で作られる。
また、〈脾(脾臓)〉では、〔氣〕から〔血〕・〔津液〕が作り出されます。
(*五臓については、[理論・応用編]で詳しくお話いたします。)
呼吸と食事は、私たちが生きていく上で、どちらも欠かせない生理活動です。
ただし...
人が選択で間違いやすいのは「食事」です。
だからこそ、「食事を理解すること」...
【東洋医学】では『薬膳・漢方』の考え方が大事とも言えます。
人は〔◯天の氣〕と〔●地の氣〕を吸収することで生きています。
東洋医学と薬膳・漢方
統合的に〔氣〕をみる
この内容は難しいため、読み飛ばしていただいても構いません。
統合的に〔氣〕をみるには、『原氣』・『宗氣』・『営氣』・『衛氣』の4つの視点を必要とします。
4つの視点で〔氣〕をみる
- 【原氣(げんき)】別名『元氣』とも呼ばれ、生命活動の原動力となる〔氣〕のこと。両親から受け継いだ、生まれ持った「〔精氣(先天の精)〕」から作られ、丹田に収められている。
- 【宗氣(そうき)】〈肺〉と〈心〉を綜合する〔氣〕で、呼吸と脈動の原動力。〔氣〕は呼吸して、〈肺〉に取り入れた酸素から作られる(〔◯天の氣〕)。
- 【営氣(えいき)】別名『栄氣』とも呼ばれ、身体に栄養を与える〔氣〕のこと。食事によって摂り入れた〔氣〕であり、脾によって消化吸収された飲食物の栄養から作られる(〔●地の氣〕)。
- 【衛氣(えき)】体の表面を巡って、外部からの攻撃や異物の侵入を守る、防衛の〔氣〕のこと。また、皮膚を温め、体温の維持、毛穴の開閉も担います。西洋の観点で言うと、免疫と恒常性の維持に貢献する。
鍼灸師と〔氣〕
〔氣〕の働き
この内容は「統合的に氣をみる」を理解した上で、よりマニアックなものになります。
〔氣〕の働きには、次の5つがあります。
5つの〔氣〕の働き
- 【推動(すいどう)】成長発育、生理活動(循環・呼吸・消化・排泄)。原氣・宗氣・営氣・衛氣の4つから成る。
- 【温煦(おんく)】身体を温め、体温を維持。原氣・衛氣から成る。
- 【防御(ぼうぎょ)】ウイルスや細菌、有害物質など、外邪の侵入を防ぐ。衛氣から成る。
- 【固摂(こせつ)】〔血〕を外に漏らさず、汗や尿、唾液、胃液、粘液などで分泌や排泄の調節をする。衛氣から成る。
- 【氣化(きか)】〔氣〕を〔血〕・〔津液〕に変化させる。原氣・宗氣・営氣・衛氣の4つから成る。
それぞれに問題があると、症状として現れます。
例えば、【温煦】に問題があれば、身体が温まらず、冷えがみられるようになります。
【防御】に問題があると、“病”に患いやすくなります。
〔氣〕が〔血〕を【固摂】できなければ出血しやすい、〔津液〕を【固摂】できなければ、多汗や多尿、鼻水が多くなります。
人の〔氣〕
五行との関係で〔氣〕を視ると、一つひとつが有機的につながりを持っていることがわかります。
〔氣〕を取り入れる際、鼻〈肺〉から〔◯天の氣〕(呼吸)、口〈脾〉から〔●地の氣〕(食事)、目〈肝〉や耳〈腎〉から“人の氣”(見る・聞く)と、顔の部分と五行の臓器を照らし合わせて考えます。
“人の氣”とは、わかりやすく言うと...
自分の周囲にいる人たちが持っている〔氣〕の影響を受けること
目や耳から取り入れられ、顔の部分からも内臓の状態を見ることができます。
これは東洋医学における“独特の考え方”であり、便利なところでもあります。
(*「その場にいる人の雰囲気やオーラを感じる」...と考えると、なんとなく理解できますね!)
〔氣〕のサーカディアンリズム
【まとめ】〔氣〕を補って、心と身体を安定させる
〔氣(き)〕“目に見えないもの”として扱われ、心と身体を動かして、生命活動を維持する“エネルギー”のこと
人の身体は〔氣〕・〔血〕・〔津液〕の3つの要素で構成され、生命活動を維持する上で最も重要です。
〔氣〕は〔血〕・〔津液〕を全身に巡らせるだけでなく、〔氣〕から〔血〕・〔津液〕を作り出します。
そのため、〔氣〕をしっかりと補うことが大切です。
〔氣〕が不足したり、巡りが悪くなると、“バランス”が崩れて、心身に不調や病気がみられるようになります。
過不足や偏り、滞りがなく、心身のバランスが取れた健康な状態を目指していきたいところです。
〔氣〕は【西洋医学】には出てこない考え方です。
しかし、【東洋医学】における〔氣〕という概念や要素を現代医療に取り入れると、治療における視野も広がっていきます。
まずは“人の氣”からでも良いので、生活の中から〔氣〕を意識してみましょう!
次回は[基礎編]第五章:血・津液について、お話いたします。
今回はここまで!
【東洋医学】をテーマにした内容は色濃くて深い分、一気に理解しようとすると、頭が混乱してしまいます。
「本質はどこにあるのか、どのようなイメージ・言葉で捉えたら良いのか?」
少しずつ頭の中で整理していき、確認をしながら理解を深めていきましょう!
〜美からなるあなたへ〜
Beauty & Being & Best
美容薬剤師 佑:Task
【読めばナルホド!大事なポイントが分かる東洋医学】
[基礎編]
第四章:氣(←今回はコレ!)
第五章:血・津液
第六章:証(虚実・寒熱・表裏)
[理論・応用編]
第七章:五行論
第八章:五臓六腑(肝・心)
第九章:五臓六腑(脾・肺)
第十章:五臓六腑(腎・三焦)
第十一章:薬膳・漢方
[番外編]
第十二章:黄帝内経に基づく身体の変化