人間は自分が置かれた環境に大きく影響されます。
そもそも、「人間」という言葉は「人」と「人」に「間(ま)」があって成り立つもの。
この「間」が、他人との関係性を築き上げ、自己を形成します。
「自分を変えたい」と願う方はたくさんいらっしゃいます。
また、それを自分の力、「自力本願」で変えようとする方も多いです。
ただ、それって、結構疲れませんか?
今回は【心のあり方がシンプルになるヒント】として『薫習(くんじゅう)』についてお話いたします。
“ほっ”とひと息とコーヒーブレイクでもしながら、本文をご覧ください。
薫習の語源
『薫習(くんじゅう)』とは、お釈迦さまの教えをもとに、弟子(禅僧)によって生まれた言葉である「禅語」の一つです。
季節ごとの衣替えの折、古くから「防虫香」というお香が使われていました。
その香りに習って、衣服や部屋全体へと移ると、とてもいい匂いが薫ります。
これが『薫習』の語源です。
このことは人間社会においても同じことが言えます。
人間は染まる生き物
人は付き合う人や身を置く環境に大きな影響を受けます。
どんなに誠実であり、清廉潔白な人物であっても、悪い集団や組織の中にいれば、悪に染まってしまいます。
また、厄介なことに、それが悪だとしても、「悪」とは思わなくなり、自然の成り行きだと思うようになっていきます。
反対に、心に邪(よこしま)な考え方を持っていたとしても、周りに素晴らしい人がいれば、自然と良い影響を受けます。
私たちには「適応する」という素晴らしい能力がありますが、つまるところ、「染まる生き物」でもあります。
この時に大切なのが、「自分が尊敬できる人」を見つけて、その人についていくことです。
尊敬できる人を持つ
「自分が尊敬できる人」を持つことは、自分の人生を豊かにするだけでなく、知らず識らずのうちに自分自身が成長しています。
「尊敬できる」とは「感謝できる」ということです。
感謝の気持ちを持って接することで、周りから愛される人間性を持つことができます。
そういう人はとても良い顔をしています。
外面的な良さではなく、内面からにじみ出てくるような顔です。
「自分が尊敬できる人」を見つけると、人生も変わってきます。
尊敬できる人の見つけ方
「自分が尊敬できる人なんて見つからないよ!」
そんなことはありません。
尊敬できる人は何も大きな業績を残していたり、肩書のある人だけがなるわけではありません。
「毎朝、道端を掃除をしている近所のおばちゃん」や「いつも会う度に、笑顔で元気な挨拶をする先輩・上司」。
「尊敬できる人」というのが難しければ、「メンター」と思える人も良いのです。
あなたのすぐ身近にいたり、見習いたいことがある人...。
きっとどこかにいます。
自力本願は大変
「自分を変えたい」と願う方は多いです。
ところが、年齢を重ねてくると、なかなか自分の力で変えることが難しくなってきます。
頑固にもなったり、一種の諦めの境地に至ったりとして、変化を恐れたりもします。
『自力本願』、自分の力で変えようとすることは、大きなエネルギー・パワーが必要となります。
ダジャレではないですが、自分を大きく変えようとする『自力本願』はとても大変です。
それならば、他人の力に頼る、『他力本願』で自分を変えてみてはいかがでしょうか?
他力本願は楽に変われる
『他力本願』は、生きていく流れの中で、他人の力に身を任せることです。
一見、ネガティブに捉えられることも多いですが、自分だけで変えようとするにも限界があります。
あらすじにも書きましたが、「人間」という言葉は「人」と「人」に「間(ま)」があって成り立つもの。
この「間」が、他人との関係性を築き上げ、自己を形成します。
人は他人があって成り立つものであり、一人では生きていけません。
『他力本願』、他人の力に頼ることも生きていく上では大切なことです。
もっと明るい性格になりたければ、明るい人といっしょに行動すれば良いのです。
もっと仕事ができるようになりたければ、その人のもとで働けば良いのです。
そして、「尊敬できる人」と共にいれば、自分も変わっていき、人生が豊かになります。
『他力本願』でいれば、自分を変えることが楽になります。
【まとめ】薫習の如く生きる
『薫習(くんじゅう)』の如く、人はその周りにいる人や環境の影響を受けて生きています。
その香りに習って、周りにも匂いが薫り、自分にもまといます。
だからこそ、付き合う人や自分が身を置く環境を選ぶ必要があります。
自分を変えるには、人に頼ることも大切です。
『他力本願』であっても良く、他人がもっているいい香りを自分に移せば良いのです。
そして、あなたもいい香りを薫らせてください。
それがあなた本来の美と魅力でもあります。