最近、『ナイアシンアミド』が配合された化粧品が多く見られます。
ナイアシンアミドはビタミンで、私たちにとって馴染みが深い栄養素でもあります。
そんな馴染み深い成分ではありますが、実際のところ、「肌にどう良いのか?」はご存知ですか?
そこで、今回は【美容成分解析】として『ナイアシンアミド』について、わかりやすく解説いたします。
この投稿を読むメリット
- ナイアシンアミドとは何かがわかる!
- なぜナイアシンアミド配合の化粧品が流行っているのかがわかる!
- ナイアシンアミドの注目すべき3つの効果を理解できる!
なぜナイアシンアミド配合の化粧品が流行っているのか?
ナイアシンアミド(化学式C6H5NO2):は「水溶性のビタミンB3」です。
食品における栄養素から医薬品に至るまで、私たちにとても身近なものです。
化粧品としては古くから使われている成分で、医薬部外品としても配合され、一般には「ニコチン酸アミド」、「D-メラノ」、「リンクルナイアシン」とも呼ばれる成分です。
2007年には美白有効成分、更に2018年(*2017年とされる説もある)には、シワ改善有効成分が厚生労働省により承認されています。
最近、有効成分として「ナイアシンアミド配合」と謳う化粧品が数多く見られます。
これは、他のシワ改善有効成分である「レチノール」や「ニールワン」などは開発したメーカー独自の技術や特許が使われており、他のメーカーで使用することが難しいからです。
一方で、水溶性で安定的なナイアシンアミドを配合した化粧品は開発しやすく、化粧水や乳液、ジェル、美容液に至るまで、さまざまな剤型に応用できます。
そのため、「シワ改善」が期待できるとして、各メーカーのコスメアイテムに『ナイアシンアミド』が配合されています。
これがナイアシンアミドが流行っているワケです。
ナイアシンアミドの効果
ナイアシンアミドの注目すべき効果として、次の3つがあります。
3つの注目すべき効果
- 【保湿】セラミド合成促進作用
- 【美白】メラニンの輸送阻害作用
- 【シワ改善】真皮コラーゲンの促進作用
注目すべき効果1
1つめの注目すべき効果は【保湿】です。
ナイアシンアミドは、セラミド合成促進作用があります。
その結果、表皮のバリア機能が改善され、保湿効果が期待できます。
セラミドとは細胞間脂質の主成分で、表皮:角質層に存在するバリア機能物質の約50%を占めます。
肌の乾燥(ドライスキン)により、角質層の機能が低下して、角質層の水分保持能の低下、並びに、バリア機能低下による経表皮水分蒸散量(TWEL:Transepidermal Water Loss)の上昇が起こります【参考文献】。
バリア機能が低下すると、肌が荒れやすくなります。
アトピー肌、敏感肌、加齢肌にはセラミドが不足しているというデータや、加齢や外的刺激物質、紫外線、間違ったスキンケアによりセラミドは減少します。
そこで、化粧品などでセラミドを外部補給することにより、バリア機能が改善され、肌の乾燥(ドライスキン)の改善や肌の健康の維持が期待できます【参考文献】。
ただ、セラミド配合の化粧品は開発コストも高いため、高価格帯のものが多いです。
ナイアシンアミドは水溶性のビタミンB3です。
水溶性で安定的に配合できるナイアシンアミドは、化粧水・乳液・ジェル・美容液など、さまざまな剤形に用いることができます。
そのため、多くの化粧品メーカーにとって開発しやすく、価格も抑えられる=手頃にお求めやすいため、注目されています。
注目すべき効果2
2つめの注目すべき効果は【美白】です。
ナイアシンアミドは、メラノサイトから表皮角化細胞(ケラチノサイト)へのメラニンの輸送を抑制します。
その結果、皮膚の色素沈着を抑制して、シミ・そばかすを防ぐことができます。
メラノサイトは表皮:基底層の細胞の間にある樹枝状突起もった色素形成細胞であり、“メラニンを生産する工場”です。
紫外線や活性酸素などの刺激を受けると、メラノサイト内のメラノソームでメラニン色素がつくられます。
メラニン色素が表皮(表皮角化細胞)に蓄積されると、シミ・そばかすが見られるようになります。
特に年齢を重ねると、肌の新陳代謝が低下して、ターンオーバーが乱れ、皮膚に沈着しやすくなります。
ナイアシンアミドは、シミ・そばかすを防ぐことで、美白効果が期待できます【参考文献】。
他の美白成分と組み合わせよう!
注目すべき効果3
3つめの注目すべき効果は【シワ改善】です。
2008年に報告されたナイアシンアミドのヒト皮膚シワにおける有用性検証のよると、日本人:28名【31-49歳、平均39.4歳】に4%ナイアシンアミド配合保湿剤を塗布したところ、8週目において18名に中程度以上のシワ改善効果を示しました【参考文献】。
このような検証結果から、ナイアシンアミドに『抗シワ効果』が認められています。
また、コラーゲン合成量が減少した培養ヒト線維芽細胞へのナイアシンアミドの添加(in vitro試験)により、コラーゲン合成量の有意な増加が報告されています【参考文献】。
このことから、ヒト線維芽細胞がある真皮コラーゲンの産生を促進すると考えられています。
シワができるメカニズムとして、表皮:角質層の水分不足による乾燥と、真皮のコラーゲンが減少などがあり、これらにアプローチすることが大切です。
ナイアシンアミドは「表皮のバリア機能」を改善して、角質層の水分保持にも貢献します。
表皮と真皮の両方へのアプローチにより、ナイアシンアミドはシワ改善が期待されます。
シワ改善について補足
医薬部外品としてのナイアシンアミド
【まとめ】保湿・美白・シワ改善
『ナイアシンアミド』には3つの注目すべき効果が期待できます。
【★復習】3つの注目すべき効果
- 【保湿】セラミド合成促進作用
- 【美白】メラニンの輸送阻害作用
- 【シワ改善】真皮コラーゲンの促進作用
セラミド合成促進による『保湿効果』、メラニン輸送阻害による『美白効果』、表皮バリア機能改善と真皮コラーゲンの産生促進による『シワ改善効果』。
どれも嬉しい効果ですね。
ナイアシンアミドが配合された化粧品・医薬部外品は今とても注目されています。
ぜひお手にとって、その効果を体感してみてください!